大地が緑一色になっている6月、探し求めていた山々に囲まれた古民家に引っ越しすることが出来ました。住みながらの古民家再生リノベーションを実行すると決めて住み出したものの、築70年以上は経っている家での生活は、想像以上のストレスに毎日襲われていました。そして、落ち着ける部屋が一部屋も無いことから、毎日の日課になっていた『すそいおん』を唱えることに集中出来なくなっていました。まずは集中して『言葉』を言える心地よい場所を探そうと、見つけたところが裏庭でした。
裏庭から繋がっている山からは無数の鳥の鳴き声が。空も見えるその場所に小さなデッキを作りました。そこで『言葉』を集中して言えるようになった頃、裏庭の端の一本の木が気になり、主人に何の木か聞いてみると、柚子の木じゃないか?とのこと。植物にも『言葉』を使うといいと聞いていたので、その日から大好きな柚子の木にも毎日『言葉』をかけ続けました。実がなり出した頃、主人に収穫は何月頃がいいかと尋ねてみると、何とお隣さんの木だということが判明。とはいえ毎日欠かさず『言葉』をかけていた柚子の木。愛着もありルーティンにもなっていたので、そのまま『言葉』をかけ続けていました。
そして12月、柚子収穫の季節に、何故かお隣さんと一緒に柚子狩りをすることになりました。80代のお隣さんは1人で収穫出来ないということで、私が切る係、お隣さんは拾う係で2時間、世間話をしながらコンテナ箱2つに大量の柚子を収穫することができました。そんな中、お嫁に来た50年以上前に、自分で植えたという柚子の木の話も聞くことができ、剪定も肥料もやっていないのに、何故か今年が今までで一番大きく綺麗な実をつけ、たくさん収穫出来たと驚いていました。こんなことは一度も無かったそうです。
私もその話を聞いて驚きとても嬉しく、一緒に収穫することが無かったら知らなかった事実に、『言葉』の確信を持てた出来事でした。
空(大分県/40代)